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渡る世間は鬼ばかり ラーメン屋「幸楽」がお金を出さずに店舗を建替えることができたワケ

『渡る世間は鬼ばかり』幸楽の所有する不動産

今回は、ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』の中のお金と不動産の話です。
『渡る世間は鬼ばかり』の第1シリーズの放送が始まった1990年頃はまだバブル経済の余韻が残っていました。
初期のストーリーには不動産に関する内容が含まれています。

岡倉家の次女、五月(演じているのは泉ピン子さん)の嫁ぎ先、ラーメン屋「幸楽」は、東京都内のどこかの商店街にあるラーメン屋です。
建物の1階が店舗、2階が五月の夫、勇の両親が住む住居、五月と勇の夫婦はこの建物の奥にある離れのような建物に住んでいます。
建物は木造の古い建物で、はっきり言うとボロい建物でした。

第2シリーズが始まると、「幸楽」は綺麗な鉄筋コンクリート造のマンションに建て替わっています。
五月夫婦と姑のきみさんは、このマンションの2階にある一室に同居しています。
けっこうな大きさのマンションに、店舗と住居を所有しています。

建替えには大金が必要になったはずなのですが、姑のきみさんのセリフに、お金を出さずに建替えられたというセリフがありました。
どうしてお金を出さずに建替えることができたのでしょうか?

答えは、等価交換です。
「幸楽」の土地建物と、新たに建つマンションの区分所有権を交換したということです。

私が『渡る世間は鬼ばかり』の全シリーズを見た経験から、「幸楽」は、1階に店舗を2室、2階に住居を2室、合計4室(4区画)所有しているはずです。
もとの土地の価値がかなり高かったことがわかります。

相続の際には、億単位の相続税がかかり、相続税を払えない、困った、土地建物を売却するしかないという当時の世相を反映した展開でした。
売った場合の金額については、記憶があいまいなのですが、10億円と3億円のワードが出ていたような気がします。
私より『渡る世間は鬼ばかり』を見ている妻の話では、売った場合、きみに10億円、子供たち3人が各3億円くらい、という分け方になると言っていたはず、とのことでした。
それだと20億円近くなるので、いくらなんでも高すぎると思うのですが、正解は第2シリーズの再放送を見て確認するしかないですね。
いずれにせよ数億円単位の大きな金額だったのは確かです。

大金に目がくらんだ久子の夫の健治が、地上げ屋のような不動産業者に幸楽の土地を買い取らせようと勝手に動いてトラブルになっていました。
健治は、この不動産業者から金を貸りていたり、相続で久子が大金を手にしたら、それを元手に起業しようと考えていたり、妻とは言え、人の金をあてにしていてろくでもない夫でした。
そこにつけこんだ不動産業者の男は、最後は脅しにかかったりと悪徳業者そのものでした。
この時代、不動産業者と言えば、悪徳業者、地上げ屋の恐いイメージが強かったようです。

幸楽と住居、その間取り

五月と勇夫婦が暮らす住居は、4DKくらいです。
姑のきみ、五月と勇夫婦、眞と愛がそれぞれ1室ずつ、あとはDKです。
80㎡くらいはあるのかも。

さらに玄関は一緒ですが、別れている住居がもう1世帯あります。
こちらは勇の妹、邦子親子が住んだり、従業員の周ちゃんと聖子の夫婦が住んだりしていましたが、間取りがよくわかりませんでした。
おそらくファミリータイプの間取りなのではないかと思います。

妻の記憶だと、2世帯の部屋は左右対称であり、共同の玄関、共同の部屋が一室あり、店舗に通じる階段がこの共同の部屋につながっているそうです。
2世帯ともに4DK、これとは別に共同の玄関、共同の部屋、店舗への階段スペースが専有部分ということになりますので、かなりに広さです。
1階の店舗へは、専有部分の2階住居から直接階段で下りられるようになっているので、区分所有のマンションを上下に利用するメゾネットになっているようです。
愛が幸楽を継いでから、2階住居の一部も店舗として改装しました。
その際、幸楽の1階から、店舗内の階段で2階の店舗部分へ上がる、というようになっていたので、メゾネットでまちがいないと思います。

これらのスペースが『渡る世間は鬼ばかり』の幸楽の主な舞台です。
しかし、一部のシリーズでは、あと1区画、他に所有している店舗区画が出てきます。
こちらは一度、外に出てしか行けません。
幸楽のお隣、もしくは間に数区画挟んで、離れているのかもしれません。
邦子が化粧品を売っていたり、久子が洗濯屋をやっていたりと、ときどき登場するのですが、後半のシリーズではその存在は忘れられていました。

幸楽は、かなりの規模の不動産資産を所有しています。
相続の際、勇の妹二人は相続放棄させられたので、きみと勇名義になっている設定だったと思います。
この二人は実は数億円規模の資産を持つお金持ちだったわけです。

等価交換

第1シリーズで、幸楽の土地は、健治の連れてきた悪徳不動産業者には売りませんでした。
そのままラーメン屋を続けるということで第1シリーズは終了しました。
土地を売りたくない、死んだ父ちゃんと始めた幸楽を続け、守っていきたいと言う姑のきみが売却を拒んだためです。

その後、第2シリーズが始まる前に、等価交換で土地を売り、代わりに新しく建てられた新築マンションに店舗と住居を得たのでした。
第2シリーズが始まったらいきなり建て替わっていたのでびっくりです。

等価交換は、マンション開発でよく使われる手法です。
地主は土地と、新築されたマンションの床を交換します。
不動産の形が変わるだけです。

等価交換によるマンション開発のイメージ図

等価交換によるマンション開発のイメージ図

等価交換は、「幸楽」のように、現金を持たない地主にとっては、現金を使うことなく建替えることができるメリットがあります。
現在の都市部には空地が少なく、何らかの建物が建っています。
解体撤去、再開発にはかなりのコストがかかります。
お金の面で、建て替えが難しく、悩んでいる土地所有者にとって等価交換は有効な手法です。

ただし、等価交換はマンションを開発するデベロッパーがいないとできません。
デベロッパーが検討できる条件がそろった土地でなければ検討してもらえません。
要はマンション適地であるかどうかです。

マンションの適地であるかどうかの条件は主に3つ。

第1にマンションの需要がある立地。
マンションを分譲して売れなければ意味がありません。

第2に土地の面積。
ある程度、土地がまとまっている必要があります。

第3に容積率。
上に伸ばせるだけの容積率がある土地であること。
できるだけ上に伸ばして販売できる戸数を増やすことができれば、マンション開発の収益性が上がります。

「幸楽」のある土地は商店街の中です。
用途地域は商業地域か近隣商業地域に指定されていると思われます。
指定容積率も大きくなるので、マンション開発に適した立地だったのでしょう。
土地面積については、「幸楽」とその周辺の土地をまとめ、マンションを開発したと思われます。

商業地など、容積率の高い地域にまとまった土地建物を所有している場合、等価交換を使って建替えることができるかもしれません。
ただし、等価交換は、土地所有者とデベロッパーの間でトラブルになることもあるので注意が必要です。
ご自分たちだけでなく、第三者の意見も聞きながら慎重に検討する必要があります。
(等価交換のトラブルについては、また別の機会に、訴訟にまで発展した事例をお話ししたいと思います)


※このブログ記事は、2024年9月18日に発信したニュースレターの記事を再編集したものです
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